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緑内障治療

緑内障とは

 緑内障は「目の成人病」といわれるほど中高年の方に多く、失明する原因の主な位置を占めています。患者さんは、日本では40歳以上の約20人に1人いるといわれています。しかし、そのうち緑内障と診断されているのは約1割ということがわかっていますので、ほとんどの方は自分が緑内障ということを知らないことになります。

 この病気は進行してくると、視野(ものの見える範囲)が周辺や中心からずれたところから欠けてくるのですが、視力はなかなか落ちてこないので、患者さんは自分の病気にほとんど気づくことがありません。

緑内障の視野のイメージ像

 ひとくちに緑内障といっても、いろいろなタイプがあります。眼圧の高いものから、眼圧が正常にもかかわらず緑内障になってしまうタイプ、病気の経過で見ると、急性に進行するものから数年から数十年かかって慢性に過ぎていくもの、また目の形からみますと開放隅角緑内障閉塞隅角緑内障に区別されます。症状があまり出ないのが緑内障の特徴ですが、一部のものではさまざまな症状が出現したりします。さらに他の目の病気や全身的な病気が原因で発症したり、タイプの違った2つの緑内障が合併することもあるのです。

眼圧ってなに?

風船

 みなさんは目を閉じて、まぶたの上から目をさわると、目の硬さを感じることができると思います。いわゆる「眼球」という感じがよくわかります。これは眼球がある適当な圧力を持っているためで、この圧力を眼圧と呼んでいます。ちょうど風船をふくらました状態と同じです。しかし、風船はふくらまし過ぎると破裂しますし、そうでないとしぼんでしまいますね。眼球は全くこの風船と同じで適当な圧力でふくらんでいることが大切になります。


 ところがこの眼圧、いつも同じ値ではないのです。一日のうちでも時間によって変化していますし、わずかな変化ですが年齢や季節を始め、さまざまな要因によっても影響を受けています。さらに、眼球の中に起きたいろいろな病気によってもその値が変わります。

 このように眼圧は、眼球が私たちに向かって発信した一種の大切な情報なのです。その意味の解釈すなわち、病的なものなのか、気にしなくて良い範囲なのかは、実際に眼科医に診てもらい、眼圧を含めたいろいろな検査結果を総合的に判断してもらって決める必要があります。

緑内障ってどうしておこるの?

 眼球の中に毛様体と呼ばれる小さなところがあるのですが、ここから房水が分泌されています。もし、このまま眼球の中に水の分泌が続きますと水がたまっていき、眼圧が高くなります。

 これをうまく解決するために眼球は、この水を眼球の外へ出す出口を設けており、眼球内で分泌された水を眼球の外へ流出させています。この分泌と流出のバランスで眼圧が保たれています。

眼球断面図

 緑内障では多くの場合、この出口がいろいろな理由でふさがれるため、眼球の中に水がたまってきて眼圧が上昇し、眼球の視神経(見たものを脳に伝える神経)が圧迫されて徐々に弱ってきて、いろいろな異常がでてくるのです。しかし最近では、一般的に正常といわれる値(10~20mmHg)の眼圧であっても、人によっては視神経が弱ってしまい緑内障になることがわかっています。

 眼圧が緑内障の原因のすべてというわけではありませんが、どのタイプの緑内障でも眼圧が大きく関係しているということが明らかなのです。

自分の症状を正しく理解する

 「緑内障」の治療の目的は、視力や視野を保つことです。初期に発見し、治療すれば、決して失明することはないのですが、病気の進行具合は緑内障のタイプや、いつ治療を開始したかによって異なります。自分の病状を正しく理解することが治療成功の第一歩といえます。


あなたは次の質問に答えられますか?

  • あなたは開放隅角緑内障ですか、それとも閉塞隅角緑内障ですか?
  • 眼圧が高い緑内障ですか、それとも正常範囲の緑内障ですか?
  • 右目と左目の視力は、それぞれどのくらいありますか?
  • 右目の視野はどのくらい狭くなっていますか?左目はどうですか?
  • 右目の視神経の状態はどうですか?弱っているのでしょうか?
    左目はどうですか?
  • 左右の眼圧はどのくらいか知っていますか?
  • 最近3年間で見える範囲は狭くなっていますか?

早期発見には定期検診を!

緑内障の患者さんの中で…

 推定される患者さんのうち、約9割の方が自分が緑内障であることを知りません。
 緑内障による失明を防ぐには、気づいていない方たちに検査を受ける機会を持ってもらうことが、なによりも必要になります。人間ドッグや検診では、以前から眼底検査が実施されており、最近では多くの施設で眼圧検査も同時に行われるようになってきました。実際に、検診で高い眼圧を指摘されて眼科を受診する方や、全く別の理由で眼科を受診して、偶然に眼圧が高いことがわかり、精密検査の結果、緑内障が発見される方が結構いらっしゃいます。

 検査の結果、緑内障であることがわかったとしても、何年も放置されてから発見されるよりは、早期に発見されたほうが、治療効果がより期待できることは当然です。緑内障の早期発見に眼圧や眼底の検査が大変重要になってきます。

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緑内障の治療方法

まずは眼圧を下げること!

 緑内障は、眼圧が高くなることが原因で、見たものを脳に伝える神経(視神経)圧迫され弱ってしまい、ものが見えにくくなってくる病気です。病気の軽いうちは自覚症状がほとんどないので、知らないうちに病気が進行していて、気がついたときには、ものの見える範囲(視野)が、かなり狭くなっていることが多い病気です。そのまま放っておくと、最悪の場合、失明してしまうことになります。

 一度弱ってしまった視神経を元に戻すことはできません。でも、早期に発見して、適切な治療を受ければ、病気の進行を食い止めることができます。緑内障の治療の基本は、その目にとって高くなってしまった眼圧を適切な程度まで下げることです。

どんな治療法があるの?

目薬をさす

 緑内障の治療法は、緑内障のタイプや進行具合によって違ってきますが、治療の基本は高くなった眼圧を下げることにあります。

 緑内障は大きく分けると、「急性」と「慢性」の2つのタイプがあります。急性の緑内障の場合、一刻も早く眼圧を下げないと、失明の危険が高いので、レーザー治療や手術による治療を行います。

 ほとんどの患者さんは慢性の緑内障ですので、まず点眼薬(目薬)で眼圧を下げる治療をします。もし、薬がなかなか効かず、眼圧が下がらない場合は、「慢性」のタイプであっても、レーザー治療や手術をすることもあります。

こんな風に治療します

 緑内障とひとくちに言っても、その原因はさまざまなように、眼圧の下がりやすさも患者さんによって違ってきます。ですから、それぞれの患者さんにあった治療法を選んで治療を行います。

 眼圧の上がっている患者さんでは、最初は点眼薬(目薬)から治療を始めます。まず、1種類の薬で様子をみながら、症状によっては、途中で薬を変えたり、追加したりして、2~3種類の薬を併用することもあります。点眼薬で、目標とする眼圧まで下がらない場合は、さらに飲み薬を追加したりします。

 眼圧が高くなくても緑内障と診断された患者さんは、視神経が弱いため、多くの方にとって普通とされている眼圧にも耐えられない方 です。そのため、眼圧の高い緑内障の方と同じように、さらに眼圧を下げるよう、点眼薬から治療をはじめます。

 眼圧は、いったん治療で下がったとしても、治療を途中でやめてしまうと、また上がってしまうので、治療を続けていくことが大切になります。定期的に検査を受けて、治療を続ければ、視野と視力を保っていくことができます。点眼薬をさすことを生活の一部として取り入れて緑内障と仲良くつきあっていきましょう。